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- 特養の管理栄養士が暇だと思われるのはなぜ?
- 特養の管理栄養士は本当に暇なの?
- 特養で働く魅力って何?
特養で働く管理栄養士は同業者が少なく、孤独になりがちです。
さらに職場によっては、多職種の職員から「管理栄養士って暇なの?」と指摘をされることもあり、心無い言葉に辛い思いをしている管理栄養士もいます。
この記事では、実際に私自身が特養の現場で働いていた時に感じたことや、現在も特養で働く管理栄養士から聞いた内容から実例を踏まえて記事をまとめています。
- 特養の管理栄養士が暇だと思われる3つの理由
- 実際に特養で働く管理栄養士のスケジュール
- 特養の管理栄養士が周りと上手くやるためのコツ
特養の管理栄養士は、入所者一人一人に合わせた栄養指導や栄養管理を行っています。
仕事内容は、献立作成から厨房業務まで幅広く携わり、入所者の食事を観察したり、嗜好の調査をしたりと忙しいスケジュールで仕事をこなしています。
しかし、なぜか「特養の管理栄養士=暇そう」と誤解されることも多いです。
この記事では、特養で働く管理栄養士の仕事は魅力的な仕事であり、「特養の管理栄養士=暇そう」という誤解が解けるように内容をまとめています。
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特養の管理栄養士が暇だと思われる3つの理由
- 献立作成に時間がかからないと思わている
- 管理栄養士に対して古い認識を持っている
- 厨房業務を怠っていると思われている
①献立作成に時間がかからないと思わているから
特養の仕事の一つに、入所者の食事を考える「献立作成」があります。
献立作成は、考慮すべき点が多く比較的時間のかかる仕事といえます。
しかし、特養では「献立作成にさほど時間がかからないのでは?」と思われることがあります。
その理由は以下のとおりです。
サイクル献立を使用している場合が多い
特養では献立作成をする際、サイクル献立を使用している場合が多いです。
- サイクル献立とは?
-
栄養価計算、食材バランス等を考慮した一定期間(一週間、一カ月、半年など)の献立を作成して、その献立を繰り返し利用すること
その場合、献立作成にかかる時間は、1から献立を作成するよりも短縮出来ます。
また、過去に作ったことがある献立であれば、発注にも時間がかからないため、発注業務の短縮にもつながります。
仕事の効率化が図れるようサイクル献立を活用していますが、利用しているから暇であるということはありません。
時にはサイクル献立とは異なった旬の食材を使用した献立作成や、イベント食の考案などをして、入所者に食事を楽しんでもらえるよう管理栄養士は日々献立作成に時間を費やしています。
入所者の変動が少ない
救急病棟などでは患者の入れ替わりが激しく、そのたびに食事数を増やしたり減らしたりする必要があります。
食事の形態(食事の固さや大きさなど)も患者一人一人によって異なるため、考慮して調理してもらいます。
また、人によっては、アレルギーを持っている人もいるので、献立を変更して代替品を用意する必要があります。
しかし、特養では比較的入所者の変動が少ないため、日々同じ入所者に対して食事を提供することが多いです。
この場合、食事数や献立を変える必要がなく、食材の発注や献立の作成で管理がしやすいといえます。
入所者の飲み込む力や、噛む力を正しく判断して食事の形態を考えたり、箸が使えない人でも食べやすい食事を工夫したりと、考慮すべき点が多く管理栄養士は入所者が安心して食事が食べられるように考えながら献立を作成しています。
②管理栄養士に対して古い認識を持っているから
令和3年度に介護報酬は改定され、介護における食事の大切さから管理栄養士の重要性がさらに強化されました。
- 介護報酬とは?
-
事業者が利用者に介護サービスを利用した場合に、その対価として事業者に支払われるサービス費用のこと
参考:厚生労働省HP
今回の改定によって、介護施設における管理栄養士の必要性が重要視されるようになり、特養などの施設に入る報酬の方法も大きく変わりました。
項目 | 改定前 | 改定後 |
運営基準 | 栄養士1以上配置 | 栄養士又は管理栄養士1以上の配置 |
報酬 | 栄養マネジメント加算 | 基本報酬 |
減算 | 栄養ケア・マネジメントが未実施の場合は減算 | |
必須 | 前年度の入居者の平均数50人に対して管理栄養士1人の配置が必要 |
大きく変わったのは、今までの報酬は加算方式であったのに対して、改定後からは基本の報酬として支払われるようになったということです。
また、栄養ケア・マネジメントが未実施の場合は減算となったことも大きな変化といえます。
この改定で、いかに食事管理が入所者にとって大切であるかということがわかります。
特養などで働く職員の中には、改定後の内容をしっかりと把握できていない職員もいます。
管理栄養士に対して古い認識を持っている職員にとっては、食事管理はただの加点で合って、無くても問題ないものという認識が根強く残っている可能性があります。
③厨房業務を怠っていると思われているから
特養の中でも、委託給食が入っているかどうかで厨房業務の有無が変わります。
- 委託給食とは?
-
委託給食会社による給食の委託サービスで、契約した職場の厨房で直営の職員に代わって、調理や配膳などを実施すること
委託給食が入っている場合 | 委託給食が入っていない場合 |
---|---|
栄養マネジメントに集中できる 委託給食の方と連携する必要がある | 厨房業務を実施する必要がある シフト制で早番や遅番がある |
委託給食が入っている場合
厨房業務を委託することが出来るので栄養マネジメント(栄養管理)に集中できます。
ただし、委託が入っているから厨房業務には無関心で良いという訳ではないため、委託している給食会社の人との連携は必須です。
委託給食で働く管理栄養士は、主に献立作成から発注業務、厨房内の衛生管理まで担ってくれています。
委託給食を退職して特養で働く管理栄養士は多く、そういった人の方が厨房の内情を把握しやすく、給食会社の人との連携がとりやすいといわれています。
>>委託給食会社を選んだ理由|委託で働く3つのメリットと直営との比較
委託給食が入っていない場合
管理栄養士が厨房に入って調理から配膳まで実施しなくてはいけない場合があります。
厨房では、入所者の食事を時間内に、かつ衛生面に配慮しながら準備をしています。
配膳時間は決まっているので、ある程度の時間配分を考えながら仕事をすることが可能です。
しかし、食事数が多かったり、準備が大変な献立(イベント食や新規の献立など)だったりすると、時間と人の手が足りず、ピリピリとした職場になることも多々あります。
管理栄養士には厨房業務以外にも多くの仕事を持っているため、厨房に入れないこともあります。
このような場合に厨房の職員から、管理栄養士はこんなに忙しいのに厨房業務を放棄して「暇してるんじゃないの?」と誤解されてしまいます。
特養で働く管理栄養士の魅力|仕事内容・1日のスケジュール
特養の管理栄養士は、職場に同業者が少なく孤立してしまうことも多いです。
しかし、仕事内容は食事管理から書類の作成まで幅広く、日々時間との勝負で仕事をしています。
ここでは、実際の仕事内容と、特養で働く管理栄養士のスケジュールをまとめています。
特養で働く管理栄養士の仕事内容
- 入所者への食事提供
- 栄養ケアマネジメント
- イベント食・行事食の提供
- 書類作成業務
入所者への食事提供
特養の管理栄養士は入居者に対して、栄養バランスの整った食事を提供する必要があります。
- 献立作成
- 在庫管理・食材発注
- 調理・盛り付け
- 調理師や調理員とのコミュニケーション 等
また、提供される食事形態は、きざみ食・ミキサー食・ソフト食など、入居者の状態を把握して一人一人に合った食事を提供する必要があります。
飲み込み能力や、咀嚼能力を考慮して、食事の形態を管理栄養士が考えます。
最期まで食事を美味しいと思ってもらえるように、管理栄養士は試行錯誤して献立を作成しますが、実際に食事を完食してくれている入所者の姿を見るときにやりがいを感じます。
栄養ケアマネジメント
栄養ケアマネジメントでは、入所者に関する情報をもとに栄養ケア計画を作成します。
- 栄養状態
- 食事形態(嚥下や咀嚼の状況)
- 食事摂取状況
- 運動量
- 入居者の体重
- 血液検査データ
- アレルギーの有無
- 体調の変化
このような情報は、様々な情報網から入手します。
- ミールラウンド
- 食事中の入居者を訪問
- アンケート調査
- 介護士、看護師、ケアマネジャーなど多職種との情報共有
このように入所者の情報を正しく判断して栄養ケアマネジメントを実施し、入居者の状況によってはケアプランの見直しも行います。
イベント食・行事食の提供
特養では、イベント食や行事食を提供をして、四季折々の食事を楽しんでもらうのも管理栄養士の大切な業務です。
- ひな祭りのちらし寿司
- 七夕の三色そうめん
- クリスマスケーキ
- 世界の料理
- 郷土料理
このような食事は月に4回~5回程度、入居者に提供しているところも多いです。
食事の楽しさを感じられることで、入居者の生活向上に繋がります
特養に居る入所者は、外出の機会があまり多くありません。
そのため、食事から四季を感じられるということに喜びを感じてくれる入所者も多いです。
実際、食事を食べた入所者から「いつも美味しい食事をありがとう」という手紙を何度も頂いたことがあり、仕事へのやりがいを感じられるタイミングでした。
書類作成業務
特養の管理栄養士は入所者が安心して食事を食べられるように、厨房内の温度や湿度の管理を行ったり、加熱調理では中心までしっかり加熱できているかを確認をしたりと、人の目がないところでも稼働をしています。
このように縁の下の力持ち人として働く特養の管理栄養士は、人としても成長ができて、やりがいを感じられる仕事といえます。
温度管理
- 厨房内温度管理表
- 中心温度記録
- 冷蔵庫温度管理記録
食品管理
- 在庫食品受払簿
栄養管理
- 栄養ケア計画書
- 栄養スクリーニング書
- 経口維持計画
- 食事観察記録
- 栄養マネジメント加算
実際に特養で働く管理栄養士のスケジュール
介護士、看護師、ケアマネージャーなど、他職種の方と入所者に関する情報共有をします。 当日の食数管理 行事食の確認 入所者の健康状況 |
昼食準備のために厨房に入り支度をしたり、パソコンに届く連絡を確認したりします。
献立の作成は、先々の分まで考えて栄養価計算をしたり、被った食品が無いかのチェックをしたりします。
食事提供のために食数の最終確認を実施します。 食数だけでなく、食事形態やアレルギー食の確認も必須です。 |
食事に誤りがないように提供前にトレーに乗っている食事を最終確認します。
その際に、きざみ食・ミキサー食・ソフト食などの大きさ、とろみ加減が正しい状態であるか、アレルギーの方に代替品が用意されているかなどを注意するのが重要です。
入所者が喫食している様子を確認します。
- 咀嚼できているか
- 飲み込めているか
- 提供した食事に食べ残しはあるか
昼休憩は1時間程度あります。
食品や消耗品などの発注を行います。
在庫をみながら数量を確定します。
また、届いている食品の検品を行うのも重要な仕事です。
常食から展開食の献立を作成します。
ケアプランの作成や、イベントの提案なども実施します。
昼食同様、夕食の食事チェックも行います。
退勤前に、納品書と請求書に誤りがないか確認をしておきます。
また、終礼では多職種の方と情報交換をします。
特養の管理栄養士が周りと上手くやるためのコツ
特養の管理栄養士は、入所者に正しい食事を提供すべく日々切磋琢磨働いています。
そんな努力を間違った解釈で、「特養の管理栄養士=暇」と誤解されてしまうことはとても悲しい事です。
ここでは、特養の管理栄養士が周りと上手くやるためのコツをまとめています。
コミュニケーションをとる
「特養の管理栄養士=暇」と誤解されてしまう要因の一つとして、多職種とのコミュニケーション不足が関係していると感じます。
中でも、厨房職員は食事提供のために限られた時間の中でせわしなく動いているからこそ、人手不足から管理栄養士を必要として、誤解を招くことが多いです。
厨房業務は確かに大変で忙しい現場ですが、それだけが管理栄養士の仕事ではないことを理解してもらうと良いかもしれません。
業務に支障が出ると良くないので、昼休みや仕事前後に話しかけると良いです。
仕事時間外に話すことで、周囲の人の目を気にすることなく、お互いの気持ちを直接伝えることが出来ます。
話す際は、相手への敬意を忘れずに話すことも大切にしていました。
スケジュールを共有する
スケジュールを共有するといっても、1日のスケジュールをみんなに披露するということではなく、タスク管理として今日中に実施しなくてはいけない業務を伝えておくと良いです。
そうすることで、「厨房も大変だけど、もしかしたら他の業務で手が離せないのかな」と思ってくれる職員もいます。
業務が始まる前の朝礼で、今日までに実施しなくてはいけない業務(発注業務や栄養マネジメントなど)があることを伝えておきます。
その際、緊急で管理栄養士が必要になった際に対応できるよう、「どこで業務しているか」「つながる内線番号」を伝えておくと、他の職員の不安も少なく済みます。
特養の仕事はやりがいのある魅力的な仕事
特養の管理栄養士が暇だと思われる3つの理由は以下のとおりです。
- 献立作成に時間がかからないと思わている
- 管理栄養士に対して古い認識を持っている
- 厨房業務を怠っていると思われている
実際には特養で働く管理栄養士の仕事は多岐にわたり、暇という誤解を生じていることが多いようです。
特養の仕事は入所者の栄養管理からイベント食の考案など、食事の楽しみを伝えられる魅力的な仕事といえます。
- 入所者への食事提供
- 栄養ケアマネジメント
- イベント食・行事食の提供
- 書類作成業務
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